「直感に頼るマネジメントは,企業の大小にかか
わらず許されざる贅沢である。 」
現代の経営上P80
事業は直感で行うことは出来ないといいながら,
残念ながら人間は,生得的に直感的な行動が優先
するように進化しました。
考えてみれば,あたり前のことで,どんなに重要な
商談や会議があったとしても,火事や大地震があ
れば無意識のうちに中断して逃げるか隠れるかと
いう行動に移すわけです。
直感が働かなければ,われわれの命はいくらあっ
ても足りないわけなんですね。
弱肉強食の自然界で生き延びるための知恵として
は,極めて有効だった直感なのですが,今日の知識
社会で経済的な成果をあげるためには逆に足枷と
なってしまっているというのはなんとも皮肉なこ
とです。
直感での行動は,場当たり的な対応になって,却っ
て問題を長引かせ,事態をさらに悪化させること
に繋がってしまうことが多くなりました。
しかも,現代社会での企業の競争力は差別化です。
差別化をするためには,誰もがついやってしまう
直感に基づく場当たりな行動から脱却する必要が
あるわけですね。
では,場当たり的な対応をするという生身の人間
の限界を乗り越えるためには,どうしたらいいの
でしょうか?
ミッションを定義し周知徹底することです。
直感が働いて,場当たり的な解決策に手がかかろ
うとしたとき,「ちょっと待てよ。そういえば,こ
れは,自分たちのミッションとは違うのではない
か?」といえるかどうかにかかっているということ
です。
つまり,人間の潜在意識に訴え続けることによっ
て,生身の人間の限界を乗り越えるということです。
但し,潜在意識を働かせるには,訓練が必要です。
繰返し繰返し訴えなければ,すぐに忘れてしまい
ます。
根気のいる作業です。
こうした根気のいる作業も,人間が得意とするも
のではありません。
人間は切羽詰まった状況に追い込まれない限り,
節約モードが働きます。
根気のいる作業は,肉体的な疲労度はもちろん,脳
に対する消費カロリーも相当なものです。
困難な作業に常に挑戦し続けるよりも,切羽詰ま
った状況に追い込まれない限りは,節約モードに
任せて怠惰に過ごした方が,消費カロリーが少な
く,体力的には楽なのです。
そういう意味で,火事場の馬鹿力とはよく言った
ものですね。
しかし,これもまた経済的な業績という意味では
意味を成しません。
多くの人が切羽詰まった状況に追い込まれないと
動かないのですが,それにつられて自分も右へな
らえでは差別化できません。
節約モードが働いても,その誘惑を打ち破り,なさ
れるべき行動をすることが差別化につながるわけ
です。
さて,あなたの普段の行動はどうでしょうか?
常に直感モードでしょうか?
それとも節約モードでしょうか?
直感と火事場の馬鹿力に頼りすぎるのは,危険
ということですね。
これらの誘惑を断ち切ることは,とても難しいこ
とですが,これを打ち破るのが成果をあげる習慣
ということですね。
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